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2024.08.22

人工妊娠中絶の手続きとリスクについて

人工妊娠中絶は、多くの女性にとって重大な決断であり、そのプロセスには医学的、法的、心理的な側面が含まれます。適切な情報を得て、準備を整えることが非常に重要です。

必要な準備と法的要件

中絶を検討する際には、まず産婦人科を受診することが重要です。
超音波検査を行い、妊娠週数の確認と、子宮内妊娠しているか(異所性妊娠(子宮外妊娠)をしていないか)の確認を行います。

日本では、妊娠22週0日以降の中絶は法律上認められていません。
中絶を希望される場合は、妊娠21週6日までに処置を行う必要があります。

人口妊娠中絶の分類と処置方法

妊娠11週6日までを初期中絶、妊娠12週0日以降21週6日までを中期中絶と分類します。

初期中絶

初期中絶は、手動真空吸引法や搔爬法での日帰り手術による中絶を行うことが多いです。麻酔をかけて手術するため、痛みを感じづらく、ほぼ確実にその日に中絶処置を終えることができます。

手術のほかにも、2023年に経口中絶薬「メフィーゴパック」が日本でも承認されました。
これは、妊娠9週0日までに行うこと、内服薬の投与ですが、取り扱いのある医療機関で入院をすることが必要です。
手術や麻酔を受けなくて済むというメリットがありますが、2-3日かけて2種類の内服を行い排出を待つため、いつ終わるかがわからないこと、腹痛や出血が続く可能性があること、経口中絶薬での排出ができなかった場合は手術を受ける必要があることがデメリットです。

中期中絶

中期中絶では、入院し子宮口(子宮の出口)を広げる処置を行い、子宮収縮薬を使用して排出します。数日間かけての処置となり、腹痛や出血が起こります。

中絶処置の際には、同意書にパートナーのサインを求める医療施設もあります。
中絶は、母体保護法で「配偶者の同意を得て行う」とされているからです。

配偶者とは法律上婚姻関係がある夫のことです。
未婚の方や、配偶者からのDVなどで婚姻関係が破綻していて同意を得られない場合は、
必ずしもパートナーのサインを要するものではありませんが、医療施設によってルールが異なるのが現状です。同様に、未成年者に対して保護者の同意を必須とする医療施設もあります。詳しくは、受診する医療施設に確認してみてください。

中絶のリスクと後遺症

中絶手術は比較的安全な医療処置であると考えられていますが、いくつかのリスクが伴います。これには感染症、出血、子宮穿孔(穴が開くこと)、子宮内の組織の一部が残ることなどが含まれます。これらの合併症は稀ですが、手術後に異常な症状が現れた場合には速やかに医師の診察を受けることが重要です。経口中絶薬では、強い腹痛や多量の出血が起こるリスクがあります。

まとめ

中絶は精神的なストレスを引き起こすことがあり、適切なサポートやカウンセリングが必要となることがあります。中絶に関することを相談する場所が少ないのが現状ですが、処置を受けた病院の医師・看護師に相談したり、相談窓口を探してみることをおすすめします。